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慶大医学部最難関のモラル崩壊 集団レイプで学生5人退学
三重大に続き、慶応大でも医学部学生の婦女暴行事件が発覚した。仁術の学舎でも「学級崩壊」が起きている。



 
 慶応大学医学部の学生五人が女子大生(20)を集団でレイプしたとして七月上旬に逮捕されたことが明るみに出た(成人一人は不起訴処分、残りは家裁送致)。同学部は今月二日、五人全員の退学処分を決めた。


 「臨床教育に関していえば、慶応医学部は末期的です」


 ある教員は、同大医局の内情を次のように語っている。


 落とせば留年という授業に、一学年百人のうち十人くらいしか出席しない。患者に接しながらの臨床実習でも、何も質問せず黙っている。こちらから質問すると的外れな答えが返ってくる。カルテも書けない。本当にこいつらは慶応か、と思うくらい勉強していない。


 「医師免許試験の模試を受けると、慶応の平均は全国の医大でビリに近い。なのに、なぜか本番での合格率は高い。よほど要領の良い人たちなんだなあと思います」


 ○患者に「我慢しろ」
 入院中の若い女性を診察する際、必要もないのに全裸にした。夜間、急病の患者からの電話で起こされた当直医が「我慢しろ」と相手を怒鳴りつけた。女性医師が、派手な化粧にアクセサリー、ハイヒール姿で診察に来るので女性入院患者が怒った。注意しても改めない。この教員が知る範囲だけでも、そんなトラブルを起こす若い医師が毎年一人か二人は出る。


 「構造的な問題もある」と、別の教員は指摘する。


 医学部教育を終え、国家試験に合格した若い医師は、まず大学付属病院で二年の研修を受けるのが通例である。この「研修医」を指導するのは、医師になって五年から十年目くらいの先輩の仕事だ。医師の世界では「オーベン」(ドイツ語で年長者の意味)と呼ぶ。治療計画やカルテの書き方、レントゲンの読み方など、医師の仕事を現場で教える「兄弟子」である。


 ところが、慶応大付属病院では、このオーベン役にあたる「助手」の多くは無給。生活費稼ぎのため三、四カ所の病院を掛け持ちしてアルバイトせざるをえないから、研修医の面倒を見る時間がない。


 「だから、医師のお手本の姿を現場で見るチャンスがないまま終わってしまうんです」


 国公立大学では、助手には十数万円の給料が出るのが普通だ。主要な科目の臨床実習は一、二カ月かけてじっくり教えることができた。それが慶応では一週間で終わることもあるという。病気の種類が増えたり、先端技術を使った新しい医療器具が導入されたりで、医師が勉強すべき知識量は年々増えている、のにである。


 増して、「こころ」について学ぶ余裕など持てなくなっている、という。


 一時頭打ちになった受験生の医学部人気は、就職難の影響でまた盛り返している。全国の大学難易度を十五段階で格付けしている河合塾によると、慶応医学部は最高ランクの「M」。ここ十数年ずっと、東大理、京大医学部に並ぶ超難関校である。


 「慶応に限らず不況で医歯薬系の人気が高いため、合格した生徒のプライドは高い。が、堂々と遅刻するわ教室の最前列で漫画を読むわ、マナーが常識外れに悪い。人間としての常識と成績が比例しない生徒が多い」(大手予備校)


 ○危機感募らす各大学

 一九九〇年代に入って、慶応を含むほとんどの医学部が入試に面接試験を課すようになったのも、学力だけ優秀で医師には不向きな学生が増えたという危機感が大学側にあったからだ。


 慶大医学部は、細菌学者の北里柴三郎を初代学部長に、日本初の私立医大として一六年に創設された。東大医学部を中心にした「官製医学」に対抗、独自の業績を築いたことへの自負は強い。


 「日本の医学並びに日本の社会をリードすべき慶応義塾で、少しでも疑わしい事があったということは絶対許せない」


 退学処分を発表した会見で、猿田享男医学部長はそう強調した。「倫理性、人間性の問題を考えるよう、教育の根本を考える」とカリキュラム見直しも示唆した。


 最難関を突破した学生に「女性を集団でレイプしてはいけません」と教えなくてはならない時代になったのだろうか。

(アエラ 1999年08月16日)