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■オリコン裁判の流れのまとめ■

ちょっとここで全体の流れをまとめてみましょう。

 

 

オリコン裁判終結後、よく尋ねられるのが「一審で勝ったオリコンが、どうして二審で請求放棄なんて自殺行為に出たの?」という点です。

困惑されるのも無理はありません。

サッカーでいえば、前半リードしていて「これは勝ちだな」と有力視されていたチームが、後半、いきなり自分側のゴールにボールを蹴り込んで負けたようなものですから。

普通は起こり得ないことです(最高裁の統計では0.1%の確率/2007年度)。唖然とするのも無理はありません。何が起きたのか、常識では理解できない。

でも、下のように、発端から流れを整理してみると、そんなに不自然でもないことが分かります。


AERA記事(03年2月3日号。烏賀陽の署名記事)によって、烏賀陽は「オリコンにとって都合の悪いことを公に発言する要注意人物」になった。

しかし、それから3年、烏賀陽はオリコンについて公的に発言することはなかった
(オリコンのチャートについて烏賀陽が自分のペンで書いた記事は後にも先にもこのAERA記事一本しかない)

「サイゾー」06年4月号で「烏賀陽のコメント」が出ているのを見つけたオリコンは、烏賀陽だけを提訴し、その裁判コストの重圧と引替えに「AERAまでさかのぼって、烏賀陽が記者としての信用を自分で否定する『謝罪』をする」ことを要求した」(当時の小池恒社長の談話
/ちなみに、AERAの記事は民事時効3年を過ぎていたので提訴できなくなっていた)

しかし裁判で「サイゾー」が「あのコメントは烏賀陽さんが発言した内容ではありません」と証言してしまった。

オリコンはハシゴを外され、振り上げた拳が下ろせなくなった。

裁判所は職権で「烏賀陽に謝罪するか、請求放棄するかどちらかにせよ」と迫った。

オリコンは謝罪を拒否し、請求放棄を選んで自己敗訴宣言した。

 

どうですか。オリコンが烏賀陽を攻撃しようとして選んだ手段が、結果的にオリコンにとって致命的なダメージになったことがわかりますね。

それは「サイゾー+インフォバーン」という当時の編集・発行責任者を提訴しなかったことです。

06年11月の提訴の時点で、彼らも訴えていれば、高裁でも「サイゾーとインフォバーンには名誉毀損の責任あり」という勝訴判決を勝ち取ることは十分可能でした。

しかし、裁判の途中で「訴える相手を間違えましたので、変えます」なんてことはできません。

オリコンは烏賀陽を黙らせようとして「サイゾーの取材先にすぎない烏賀陽だけを名誉毀損で提訴する」という愚劣極まる提訴をしたので、最悪の事態に自ら落ちたのです。

「自業自得」とは、現在のオリコンのためにあるような言葉です。

当たり前のことですが、烏賀陽がサイゾーの誌面に印刷された通りの発言をしたとは限らないのです。取材して書いた記者、それを誌面化した編集者の手が加わって、記事はできるのです。

自らも「オリジナル・コンフィデンス」という業界誌を発行し、今も「オリコン・スタイル」というニュースウエブサイトで「800万のユニークユーザーがいる」と語る巨大マスメディアであるオリコンが、それを知らないはずはありません。

オリコンにとっての大誤算は、サイゾーが正直に非を認めてしまったことです。普通、雑誌の編集長が「私たちは取材した人の発言を歪めて書きました」と認めるなんて、日本のマスコミではなかなか起きないことです。

例えば、新銀行東京訴訟では、実名で内部告発をした横山剛さんが訴えられたら、報道したテレビ朝日、講談社は手のひらを返したように逃げ回っています(これは報道にとって倫理上許されない愚行なのですが、それはまたの機会に改めます)。

「まあ、乱暴な提訴だけれど、サイゾーが烏賀陽に味方するなんて、そんなことは普通ないだろう」とオリコンが展開を甘く予想していたとしても、不思議ではありません。

その意味では、揖斐憲サイゾー編集長の決断が烏賀陽を救ったともいえます。

こうして見ると、オリコンが和解条項違反を承知でわざわざ「烏賀陽が反訴を放棄したので、ウチも本訴を放棄しました」なんて、高裁の和解調書が発表されてしまえばすぐに虚偽だとわかる苦しい報道発表をしているのがなぜか、わかりますね。

「自己敗訴宣言」(請求放棄)を「和解による解決」と言い換える理由もわかりますね(まあ、ウソじゃないですが、本当のことも言っていない)。

最悪の負け方をした事実を一番よく知っているのは、オリコン自身だからです。

(少なくともオリコン側代理人の3人の弁護士先生はよくご存知のはずです。法律のプロですから。が、先生方がオリコン本社にきちんと今回の結末の意味を説明された、オリコン本社がそれを理解していたのかどうかは知りません)

そりゃあ何とか体面を取り繕いたくもなりますよね。心からご同情申し上げます。

 (2009.8.11)

 

 




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